2012-11-06 15:35:01
「ううう〜さむい!」
油味さんは、白い息をはきながら会社から帰ってきました。
こんな寒い日は、醤さんが先に帰宅していると本当に幸せな気持ちになります。
明るい家に暖かな部屋、キッチンでは鍋から湯気がふいています。
「おかえりー♪」
醤さんは、いつもよりちょっぴりはりきっているように見えます。
「なんか、いいにおい・・・♪」
油味さんは鍋をのぞきこみました。
鍋には茶色い丸い薄切りのものがたくさん入っています。
「これ、な〜に? もしかして、しょうが?」
「ピンポーン! 今日会社で、しょうがの佃煮の作り方を教えてもらったんだ。しょうがは、体をあたためるんだって」
醤さんはゆでたしょうがをザルにとると、フクしょうゆとさとうの入った鍋で煮詰めはじめました。
「うわあ〜、ますますいいにおい! ではお味見を・・・」
「まって。かつおぶしを入れなくちゃ。それにもう少し煮詰めないと」
ようやく佃煮が完成し、山盛りのしょうがが皿に盛られました。
「ごはんだよ。さあすわって」
醤さんが声をかけました。
「は〜い」
油味さんも食卓につきました。
「新しょうがで作るってきいたけど、油味の冷え性がよくなるんじゃないかと思うと待ちきれなくてさ」
しょうがの佃煮は甘辛くて、酒のつまみにもご飯にもピッタリです。
醤さんの気持ちが嬉しくて、「おかずはこれだけ」とは、とてもいえない油味さんでした。